Ingress:第2話「Escape – Past – Destiny 」解説

あらすじ

誠が爆発現場で出会った記憶喪失の女性、サラ。
彼女は巨大企業ヒューロンの秘密を握っていたらしい。サラを助けた事により、ヒューロンに追われる誠。
共に逃げる2人の前に、ジャックと名乗る男が現れる。彼はXMにより特殊な能力を発揮する「センシティブ」だった。
アニメ公式ストーリー

アバンタイトル

エージェントかどちらの陣営だ

第1話のエンドからの続き。サラの荷物を探しにヒューロン研究所に戻ってきた誠とサラ。だが彼らは駐車場にて、待ち伏せていたジャックにより一時拘束される。

エージェント
エージェント(Agent)とは工作員の意味を持つ。ここでは、XMを巡る2つの陣営のどちらに所属する人々を意味している。ゲームIngressでは、プレイヤーのことをエージェントと呼び、彼らもまた自らをそう呼称している。アニメの世界では、実際に両陣営が戦争状態のようである。

また、同時にヒューロンの警備部門が駐車場に潜伏しており、サラ・誠・ジャックの3名を完全に包囲している。指揮をするのはもちろん劉天華。病院からここまで事態の把握がとても早い。

ヒューロンにとって重要なのはサラだけであり、誠とジャックはただの排除対象のようだ。

ジャックのゴーグルの機能

サラの捕獲のために誠たちを銃撃する武装した男たち。

サラが誠をかばっているためにむやみな発砲をせずに捕縛を試みる。一方でジャックは車の陰に追い詰められるも、自身のゴーグルを装備して起動した。

彼がゴーグルを起動した直後、ヒューロンの周囲に三角形の青いラインと「フィールドが生成されました」という女性のボイスが流れた。

コントロールフィールド
Ingressにおいてコントロールフィールドとは、3つのポータルをリンクで結んだ中に形成される三角形のことである。ジャックのゴーグルにはそのコントロールフィールドを離れたところから生成できる機能が備わっているらしい。ただし本来のIngressでは、実際にポータルに接近しなければリンクやフィールドを作ることは出来ない。ジャックのゴーグルは一種のチート機能といえる。

ジャックの能力「フラッシュフォワード」

青いフィールドの下で、ジャックの目が青く光る。彼らのセンシティブとしての能力「フラッシュフォワード」が発動したためだ。彼はこの能力によって数秒だけ未来予知が可能である。

ジャックが能力を発動している最中、サラはジャックの周囲のXMが青く光るのを目撃する。

サラ:センシティブ

どうやらXMを可視化できるセンシティブにとって、他のセンシティブが能力を発動しているとその周囲に陣営に応じてXMが光るらしい。

全ての武装警備員を素手で制圧したジャックは、彼らの1人に発信機らしきものを取り付けてその場から去る。

Aパート

ヒューロンとジャック、この両者に狙われた誠とサラ。2人が取った行動はシンプルな逃走だった。

Escape-Past-Destiny

Escape-Past-Destiny

タイトルのグリフはEscape-Past-Destiny。直訳すると「過去と運命から逃げる」である。逃走中の2人を暗示していると思われる。

サラ:XMによって特殊な力を得る人間が居る。彼らはセンシティブと呼ばれている。
サラ:私もそう。能力はセンシティブごとに色々。
サラ:私には「人には見えないものが視える」

サラによる解説。記憶の一部を失っていても解説役としては役割を果たす優秀なヒロインである。

逃げる2人。だが、ジャックの未来視の能力で徐々に逃走ルートを詰められていく。

一方その頃、劉天華は部下の失態を一瞥して舌打ち。確実にサラを回収するため別働隊にジャックの狙撃を指示した。先読みの能力をどう無効化するのか。

Ingress

Unknown: その時間はない

助けを呼ぼうとする誠に謎の声が再びスマホから発せられた。同時に立ち上がったのはIngressというゲームアプリ。

Ingress Prime
誠のスマホに勝手にインストールされたゲームアプリの名称。現実では、Ingressと現在ベータ版のIngressPrimeの2種類が存在し、アニメでは新しいバージョンのIngressPrimeが映しだされている。本来、アニメと連動してIngressPrimeはリリースされる予定だったが、開発が難航して11月リリースとなっている。

Unknown: 今、世界は危機に曝されている。XMをめぐり、幾多の勢力が争っている。
Unknown: その勢力は2つの陣営にわけられる。あの男はレジスタンス。青のポータルから力を得る

ポータルとはXMが集積したものである。これはゲームでもアニメでも同様。XMは歴史的な建造物や人々に親しみやすいオブジェクトの周囲に集まり、ポータルとなる。

サラの眼には、周囲が青のフィールドに囲まれている情景が視えた。ジャックのゴーグルの遠隔操作によるものだろうか。

陣営の選択

八方塞がりと訴える誠に対して、Unknownは「君も陣営を選択しろ。エンライテンドを選べば君は青のポータルを破壊できる」と返してきた。誠は陣営選択のボタンを押す。

ADA:あなたが選択したのは「エンライテンド」です

その瞬間、サラの眼には誠が緑のXMで囲まれる光景を見た。誠がエンライテンドのセンシティブとなった証だ。

Ingressの陣営選択
Ingressでは最初に陣営を選択する。原則これは動かすことはなく、以降は自分の選択した陣営の陣地を広げることを目的に活動する。逆に言うと、エージェントは必ずどちらかの陣営に所属していることになる。

バースター

エンライテンドのエージェントになった誠は、バースターを使用した。その瞬間、スマホからおびただしい量のXMが噴出し、周囲の青のポータルに干渉した。最初は何も起きていないと思っていた誠だったが、徐々に周囲の青のポータルの勢いが消えていった。

バースターの効果
Ingressの攻撃アイテムの一つ、XMバースター。これは周囲の敵ポータルに対して範囲攻撃を行う。実際にはポータルに接続されたレゾネーターという共振器に干渉している。レゾネーターを失ったポータルは白い本来の色に戻る。なお、アニメでは周囲数百mを超えてバースターの威力が拡散しているのがわかる。通常のバースターにここまでの威力はない。

バースターによって青のポータルを順調に減衰させていた誠とサラだったが、当然ジャックにもその光景は見えている。バースターの使用により逆に攻撃の起点がまともにバレてしまった形だ(それ以前に元傭兵のジャックには2人の居場所はバレバレだったわけだが)

追いついたジャックは、ヒューロンの兵士から強奪した銃を2人に向けた。

その頃、ヒューロンの部隊が青のリンクが集中している場所にたどり着いた。

隊員A: こちらブラボー。リンク解除地点に到着。ポータル破壊に移行する。
隊員B: しかし、さっきの強力なバースターは…

劉天華がジャックの能力を封じるために講じた策は至ってシンプル。それは、彼の能力を生み出すフィールドを消すことだった。

ヒューロンの隊員2人はジャックのものより大型のゴーグルをつけている。これによって、空中で動かした手に併せてIngressを操作できるようだ。そして、やはり誠のバースターの威力は通常のそれより強力だとわかる。

サラの物理攻撃 その2

ヒューロンの隊員によってリンクが解除されてジャックの能力は使えなくなった。この瞬間を狙ってサラはジャックに向かって駆け出し、誠はそれに合わせてバースターを放つ。誠の規格外のバースターから放たれた緑のXMを浴びたジャックは一瞬目がくらむ。予想していたサラは近くの消火器で殴りつけた。

暴力行為
もちろんIngressでは現実の人同士による暴力行為を禁止している。だが、エージェント同士の争いはゲームにとどまらず、実際に暴行やストーキングという形で現れることもしばしば。

サラの消火器攻撃を受けても立ち上がったジャックは、誠とサラが乗ったトラックに飛ぶ移った。ゆうに3階の高さからのダイブ。そこからトラックの荷台にしがみくも、振り落とされ、さらにヒューロンのヘリで銃撃された。ここでジャックはようやく撤退を余儀なくされた。

武装兵士と肉弾戦、中距離走、消火器アタック、高所からのダイブ&落下、銃撃。ダイ・ハード並のタフさだ。

警察

ジャックから逃走した2人だったが、安全のために駆け込もうとした警察は既に誠を誘拐犯としてマークしていた。ヒューロンの劉天華による工作である。

神社

一般人から犯罪者になった誠がサラと立ち寄ったのは都内の神社。そこでサラから別れを告げられるも、自身も行く宛がないということで誠は協力を求める。そして、サラの失った記憶を自分の能力で読み取れないかと提案する。

神社
神社はポータルになりやすい

Bパート

誘拐犯となった誠はサラにとある提案をする。

サラの記憶

誠がサラの指輪に触れると、そこから緑のXMが噴出した。エンライテンドのエージェントとなった誠は、XMの力を緑のポータルから得ることができる。

爆発よりも前のサラの記憶に触れた誠は、サラがヒューロンの施設からとある人体実験の資料をみたことを読み取った。そしてそこには、森に囲まれたとある研究所の画像があった。

サラの能力

研究所のことを聞いたサラは、神社にあった中立ポータルに近寄った。サラはそこからポータルネットワークアクセスできるようだ。ポータルネットワークを介して、サラは自身の記憶の断片から目的の施設を抽出。

直後、サラは能力の行使による疲れなのか足元がおぼつかなくなった。

ポータルネットワーク
Ingressにおけるそれは、厳密な定義はないものの、単純に言えば大量のポータルとそれに関連付けられたオブジェクトからなる膨大な情報網を意味する。ポータルは必ず現実のオブジェクトと1対1となっており、日本も50万以上のポータルが登録されている。それらは単なる点ではない。人とものと土地を結びつける強力な緩衝器である。

盗聴

誠のGPS情報とサラのスマホから抽出した情報を元に、劉天華は2人が京都の研究所に向かうと予想。

同時に、隊員に取り付けた盗聴器によってその会話を盗み聞きしたジャック。2人を追って京都に向かう。なお、この時既に複数の隊員をのした後だった。あの銃撃後も戦って勝つとは、恐ろしい体力と戦闘力。

変装

朝、変装をしたサラと誠は京都行きの新幹線に東京駅から乗車。指名手配されている誠がなぜそんな大胆なことを出来るのかは不明だが、きっとサラがなんとかしたのだろう。

なお、監督によれば2人の変装は近隣の激安ディスカウントストアで買ったものらしい。

サラが誠の右手に触れると、誠は周囲のXMを可視化することができた。サラによればそれはセンシティブの能力だという。

新大阪行きの新幹線で2人は京都に向かう。

総括

2話にして展開が早い。Ingressというゲームの簡易説明やジャックの能力やサラの能力まで描ききっている。

不思議なのは、サラはレジスタンスのジャックの力を回避するために青のコントロールフィールドを離れればよかったのにそれをしなかった点だ。とはいっても、フィールドの発生は予測が困難であり、逃げても貼り直されるためあまり意味はないのかもしれない。

なお、Ingressの初期では現在のIngressとは比べ物にならないくらいにバースターの威力が強かったらしい。恐らく誠に匹敵するくらいの。